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Ⅰ.はじめに
わが国におけるがんの罹患率は男女ともに増加の一途を辿り,現在では年間30万人以上ががんで亡くなり,がん罹患の可能性は男性の2人に1人,女性の3人に1人と推測されている1).しかしながら,近年,医療技術の進歩やがん対策政策の推進により5年生存率は増加し,がんを抱えながら生活する者に対して,日常生活が円滑に送れるための支援が喫緊の課題となっている.これまでがんに関する研究では,後遺症への対処への文献2)3),治療の援助に関する文献4)が多く,生活の質を維持し,社会生活を過ごすがん患者を心身ともにサポートする研究数は少ない.
生活の質を維持するためには,身体面・精神面・社会面など,当事者が関与するあらゆる側面での支援が必要である一方で,抑うつはがん病期,がん種を問わず患者の15〜25%に発症するとの報告がある5)〜7).がん患者と抑うつに性差はないと考えられているが8),発生率および重症度の性別による違いは十分に検証されていない.しかし,婦人科がん術後患者においては年齢により女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下により精神面において不安という形で現れることもある.
また,婦人科がんは,妊孕性の喪失や排泄機能に関わる問題など羞恥心により相談しにくい状況や,加えてセクシャリティなどきわめて個別的な課題があるために,支援への取り組みが十分でない現状にある.婦人科がん術後患者のQOLは,パートナーの有無,排泄障害の有無,経済問題,社会的役割変化,更年期症状,抑うつ,夫婦関係,ソーシャルサポートと影響していることが明らかとなり9),包括的な支援が示唆された.しかしながら,対象の多くは退院した者であり,外来に支援機能が委ねられるものの,十分な役割が発揮できない現状にあると推察される.
今後,更なる検診率の向上に伴い,手術件数の増加,および術後患者は増えると推測され,術後の包括的な看護支援はよりいっそう重要になる.そのため,日本における婦人科がん術後患者の抱えている課題を詳細に把握することは有用であると考える.
そこで,本研究では婦人科がん術後患者にどのような支援が必要かを検討するために,日本国内で発表された外来におけるフォローアップに関する文献検討を実施した.
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