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わが国の精神看護領域における看護診断導入の現状を把握し,平成19年度の結果と比較することで,看護診断普及に向けた課題を検討するために,全国の精神病院を対象とした調査を行った.研究対象は,全国の精神病院に勤務し,病院の特性や看護記録を把握している看護職者とした.有効回答数は431施設,有効回答率は25.6%であった.看護診断導入への影響因子である病院種別や看護師の割合は,「公立」「総合病院」「看護師の割合が8割以上」で看護診断導入の度合いが高く,「民間」「精神病院単科/複数科」「看護師の割合が6割以下」で導入の度合いが低かった.また看護診断を導入した理由は,「病院内で共通言語の必要性を感じた」が上位1位,「患者の抱える問題が共通認識しやすい」が2位であり,今後の課題については,「精神科領域における看護診断名が少ない」が1位,「アセスメント不十分なまま看護診断名を挙げる」が2位であった.これらの順位は19年度と同様であった.看護診断を導入しない理由は,「スタッフの教育背景や能力に差がある」が1位,「看護診断は難しい」が2位であった.19年度は,1位は同じであったが,2位は「看護診断の指導者がいない」であった.看護診断の普及が電子カルテと連結しているかどうかは不明であった.一方で,看護診断導入の有無にかかわらず,情報収集の枠組みを使用している施設が増加しており,導入群においては「NANDA-I看護診断」の活用が著明であった.また19年度では,看護問題の表現は,非導入群および予定群では「看護師個人の表現」が「病院作成の表現」より多かったが,24年度では「病院作成の表現」が増えつつあった.日々の経過記録でも,24年度ではクリニカルパスを活用する施設が増加するなど,チーム医療の流れのなかで,他職種との共有化できる言語の必要性の増大が感じられた.
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