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はじめに
リハビリテーション医学の進歩,福祉志向の社会的動向,それにより根本的には老人人口の急速な増加によって,老人のリハビリテーションはますます大きな問題となりつつある.本来は障害をもつ老人はまず病院(一般病院のリハビリテーション部門またはリハビリテーション専門病院)で入院または通院のリハビリテーションを受け,能力回復がほぼブラトーに達したら地域の通園センター(老人福祉センターなど)で維持的なリハビリテーションを継続することが望ましい.また身体的・社会的な理由で地域で生活することができない老人にはナーシング・ホーム(わが国の現状では不十分ながら特別養護老人ホームがその機能を代行している)に収容され,そこで維持的リハビリテーションを継続すべきである.
一方,健康老人の生活施設である養護老人ホームでは,生活が単調となり,心身の老化が促進されやすいので,その予防のためのいわば「予防的」リハビリテーションが必要である.レクリエーション活動などもこのような「予防的」リハビリテーションの中では重要な意味をもつ.
以上はあくまで原則論であり,わが国の現状ははるかに不十分であり,かつそれぞれの場におけるリハビリテーションの内容の区分(「回復的」,「維持的」,「予防的」等の)も不明確で混乱している.
その改善のためには,すでに先進的な活動をおこなっている老人ホームの経験に学びつつ,それを普遍化して,老人ホームにおけるリハビリテーションのあり方を,技術内容,組織,運営のすべての面で基準化し標準化していくことが必要である.今回はそのような方向への第一歩として,まず現状の把握を行うことをめざし,全国的調査を行った成績を報告し,それにもとづいて考察を加える.
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