特集 チェーンホスピタルとは
チェーンホスピタルと今後の医療—ビジネスとしての医療を考える
チェーン化をいかに地域医療システムに結びつけるか
西 三郎
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.835
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206983
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徳洲会の進出,アメリカのチェーンホスピタルの発展は,現在の医療経営の状態からみて,出るべくして出たものといえよう.まず,将来の医療のあり方からみて,その可能性と限界について考察を加えよう.
我が国の医療は,包括医療,地域医療,更にプライマリ・ケアと次々と新しい概念を提唱しながら,その実態の多くは旧態依然たる診療を続けている地区が少なからずみられている.しかし,将来においては,プライマリ・ケアを中心とした地域医療システムが確立されるものと考える,なお,プライマリ・ケアとは人により概念が異なるが,ここでいう概念の具体的実践例の一つとして,日野市難病ケアが挙げられるものとする.地域とは,地域内の住民意志決定機構を有するものを限定し,それを欠くものは,単なる区画として区別する.医療とは,広義の医師法第一条にいう公衆衛生として理解する.システムとは,施設または機能間の連携に当たって,具体的制度(必ずしも法制度でなくても良いものとする)を有するとする.このような将来の状況においては,各機能のうち,実践において研究性をより必要とする分野は,個別性が高く,標準化は困難である.また地域ごとの実践における仕様が異なる機能はその標準化が困難である.このような標準化が困難である機能を除き,比較的安定(時間の問題ではあるが)した機能について,その標準仕様を定め得るものといえる.
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