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はじめに
慢性疾患あるいは病気の慢性的状態においては,食事・運動・薬物療法などを毎日の生活のなかで続けることが求められる.しかしながら,これらの治療方法の必要性を理解していたとしても,病気である状態を自分なりに取り込むことができない,あるいは心のよりどころとなる他者からの支援が得られないことなどにより,指示された養生法(Therapeutic Regimen)に自らの意思として参与することができない患者の状況に直面することも多い.北米看護診断協会(NANDA)1)が提示している看護診断名のなかにはコンプライアンスに関する診断名が含まれているが,コンプライアンスの概念には本来的に医療職者の指示に患者が従うかどうかという医療職者中心の要素が含まれるとする解釈もある2~6).
実際に1日24時間1年365日という長い時間的経過のなかで養生生活を続けるのは医療職者ではなく,あくまでも患者本人であり,その人自身の主体性が必要になる.そのため,このような養生生活にかかわる看護診断名としての〈非効果的治療計画管理〉(Ineffective Management of Therapeutic Regimen),あるいは〈効果的治療計画管理〉(Effective Management of Therapeutic Regimen)は大きな意義をもつと考える.今回,糖尿病および食行動異常患者の心理的ケアを進めるなかで,指示された養生法を効果的に管理することができない原因の1つに〈自己尊重の混乱〉(Self-Esteem Disturbance)が考えられる事例に接したので,これらの事例における診断と治療のプロセスをここに報告し,診断に焦点を当て検討を試みたいと思う.
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