連載 赤いコートの女―女性ホームレス物語・13
混乱する共同生活
宮下 忠子
1
1コミュニティワーカー制度を考える会
pp.760-762
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100156
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波さんの家出
アパート生活を始めて,波さんは太ってきた.平沢さんは,日に日に廋せてきた.聞くと4kg廋せたという.2人とも不安,イライラが限界に達している様子であった.波さんは共同生活に疲れを感じるようになった.平沢さんは,同じく共同生活の過程でハナという愛犬を自分の都合で見放した身勝手さに悩んでいた.波さんの病気からくる錯乱は主に夜中に酷くなり,薬で抑えようにも薬そのものを頑なに拒否している.平沢さんは,波さんの興奮を鎮めるのに疲れ切ってしまう.
2人は今までそれぞれに路上ではあっても,精神的には気楽な存在であった.お互いに,何年もさらし身のまま,1人で路上生活を送ってきたのである.しかし今,2人のそれぞれのテントはない.
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