平成26年度看護研究助成 実績報告書
慢性腎不全患者の高度ケースマネジメントに必要な能力の検討
加澤 佳奈
1
1広島大学大学院医系科学研究科
pp.32-33
発行日 2023年4月30日
Published Date 2023/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200289
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
【目的】慢性腎不全患者が住み慣れた地域で最期を過ごせるよう,患者のQOL向上,エンドオブライフ支援,医療・介護費の適正化を目指したケースマネジメントを展開し,その介入事例の分析から実践能力を抽出した.
【方法】事例研究を行った.対象者は,広島県呉市の国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入する20歳以上の者,かつ腎疾患の診断名をもつ者とした.さらに,次のいずれかに該当する者とした;高額な医療・介護費利用,高度救命救急医療利用,長期入院,頻回受診・入院,多剤服用.経時的に記録した介入内容を分析し,カテゴリーを抽出した.
【結果】13人の対象者に介入し,彼らの病期は慢性疾患の急性増悪から終末期に至るものであった.介入記録を分析した結果,高度ケースマネジメントを実施するための能力として,対象者の心身状態・家族や住まいを含む環境等に対するヘルスアセスメント,患者や家族・かかわる保健医療介護職とのコミュニケーションなどを含む8つの能力が抽出された.
【考察】本研究において抽出された能力は,患者や患者を取り巻く家族や医療,介護システムなど環境の包括的アセスメント,それらへの介入にかかわるものであった.そのため実践者は,広く保健,医療,介護制度,サービスに関する知識を有していることが望ましいと考えられる.
Copyright © 2023, JAPAN ACADEMY OF NEPHROLOGY NURSING. All rights reserved.