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特集 AWGC2023基準の悪液質とリハビリテーション医療
慢性心不全患者における悪液質の病態とマネジメント
Pathophysiology and Management of Cachexia in Patients with Chronic Heart Failure
小西 正紹
1
Masaaki Konishi
1
1横浜市立大学医学部循環器内科学
キーワード:
心臓悪液質
,
サルコペニア
,
フレイル
,
カヘキシア
,
低栄養
Keyword:
心臓悪液質
,
サルコペニア
,
フレイル
,
カヘキシア
,
低栄養
pp.1401-1407
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033141401
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内容のポイント Q&A
Q1 慢性心不全患者における悪液質の病態とは?
がん悪液質と異なる病態として,腸管の浮腫や血流低下,血中のカテコラミンや利尿ペプチドの影響,特に運動耐容能への鉄欠乏の影響,骨格筋量の減少が交感神経活動の亢進と末梢血管収縮を通じてさらに心負荷を増大させ負の連関を引き起こすMuscle hypothesis等がある.また体液貯留や利尿薬の影響が強いため,体重減少の程度で悪液質を診断することがしばしば難しい.
Q2 慢性心不全患者における悪液質の集学的治療とは?
原疾患である心不全に対して可能な介入を優先する.ACE阻害薬やβ遮断薬に代表される薬物治療,植え込みデバイス等の非薬物治療は日々進歩している.運動療法は,心臓リハビリテーションの枠内で行われ,心不全患者全般に推奨される.低栄養リスクのある心不全患者への経口栄養補助を中心とした個別栄養療法が生存率を改善させる可能性がある他,鉄欠乏への静注鉄補充療法のエビデンスが豊富である.
Q3 慢性心不全患者における悪液質の対応の将来展望とは?
薬物療法としてアンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI),イバブラジン,SGLT2阻害薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は心不全の新たな標準的治療となっており,心臓悪液質への有効性も期待がもてる.がん悪液質に対し使用可能な食欲促進系ホルモン作動薬であるアナモレリンは,心不全患者には禁忌に当たり使用できないが,別機序の悪液質治療薬である抗GDF-15抗体の心臓悪液質に対する治験が進行中であり,今後の結果が待たれる.
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