増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
10 周術期
ハイリスク患者の管理
透析・慢性腎不全の患者
杉田 慎二
1
,
市場 晋吾
1
1日本医科大学付属病院外科系集中治療科
pp.268-271
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205656
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疾患の概要
腎機能が残存している慢性腎不全の患者の周術期管理で重要なことは,残存している腎機能をそれ以上悪化しないように維持することである.慢性腎不全における腎機能悪化のほかの原因としては,腎血流が直接的に減少する病態(心拍出量の低下や腎血流低下など)が生じることのほかに,腎毒性薬物の使用や感染症,高カルシウム,高尿酸血症が挙げられる.術前に腎機能を悪化させうる原因があれば,それを除去する必要がある.
血清クレアチニン濃度だけでは正確な腎機能評価はできないが,わが国では日本腎臓病学会が発表している推定CCr(eGFR)の式が臨床的に使われている(表1).さらに,クレアチニンクリアランスにおいても正確なGFRを反映しない場合があることを念頭に置く必要がある.日本人におけるGFR推定式は,男性 : eGFR(mL/分/m2)=194×Cr−1.094×年齢−0.287,女性 : eGFR(mL/分/m2)=194×Cr−1.094×年齢−0.287×0.739である.
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