資料
外来透析患者に対する透析開始前情報収集の実施状況
高橋 さつき
1
,
櫻井 あかり
2
,
徳田 佐智子
3
,
麓 真一
4
,
海澤 克太
5
,
齊藤 京子
6
,
岡 美智代
1
1群馬大学大学院保健学研究科
2多野藤岡医療事務市町村組合公立藤岡総合病院
3医療法人社団三矢会前橋広瀬川クリニック
4医療法人社団日高会日高病院
5埼玉医療生活協同組合皆野病院
6群馬大学医学部附属病院
pp.25-31
発行日 2023年4月30日
Published Date 2023/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200288
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【目的】外来透析患者に対する各施設の透析開始前情報収集の実施状況を明らかにする.
【方法】質問紙の郵送調査を行い,A県35施設(回収率62.5%)の回答を分析した.
【結果】血圧,感冒症状,呼吸苦,外傷・打撲等の4項目は,全施設で透析開始前に情報収集を実施していた.体温,vascular accessの状態,食事量や嘔気・嘔吐,排泄の異常,他施設への受診の5項目は,未実施の施設があった.透析開始前情報収集のチェックリストやマニュアル類があったのは約14%の施設で,情報収集方法は「コミュニケーション・観察」「自宅で記載して持参する記録物」の順で実施していた.
【考察】チェックリストやマニュアル類の活用で,情報収集漏れを起こしにくい環境へ整えることができ,コミュニケーションによる情報収集の際は,多様な透析患者の心理的特徴を踏まえた対応を身につけるとスムーズであると示唆された.さらに,一律な観察項目はパターン化して反復実践しながら習得すると,観察による情報収集はスムーズになり,「自宅で記載して持参する記録物」は,患者のセルフケア能力に応じた工夫を行う必要性が示唆された.
【結論】施設によって透析開始前に情報収集を行っていない項目があり,今後,安全な透析療法提供に向け,チェックリストやマニュアル類を作成し,看護師個々はコミュニケーションや観察による情報収集のスキルアップに努める必要性が示唆された.
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