資料
2.血液透析患者の食事療法に関するストレス・コーピングと自己管理行動
中村 雅美
1
,
籏持 知恵子
1
1大阪府立大学大学院看護学研究科
pp.104-111
発行日 2020年8月31日
Published Date 2020/8/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200215
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I.研究背景
わが国における血液透析(以下,透析と略す)患者は2017年末の時点で約33万人であり,年々増加傾向にある(日本透析医学会統計調査委員会,2018).透析患者は透析療法を受けるだけでなく,食事や服薬の管理,社会生活の調整など,さまざまな自己管理が求められ,身体的・心理的・社会的なストレッサーに直面する(Miller,2000).透析に伴う食事療法は他の治療法と比べて困難が大きく,強いストレッサーであると報告されている(正木ら,1990;原ら,2004;シェリフ多田野ら,2006)一方で,生命予後を左右する最大要因として重要である(椿原,2007).
コーピングはセルフケア能力の要素の1つであり(清水ら,2005;古家,2009),慢性病患者では,ストレッサーに対して効果的にコーピングできないと自己管理行動ができなくなると指摘されている(Lubkin et al./黒江,2002/2007).2型糖尿病患者では,ストレスの認知状況やコーピングスタイルと血糖管理には関連があり(Peyrot et al.,1992;安田ら,2002),慢性閉塞性肺疾患患者では,コーピングスタイルがQOLに関連し,コーピングに焦点を当てた自己管理行動支援の必要性が示唆されている(Tiemensma et al.,2016).したがって,ストレッサーの認知的評価,コーピングは,慢性病患者の自己管理行動を支援するうえで重要な観点であると考えられる.
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