資料
1.通院する高齢血液透析者と家族の生活体験
對馬 牧子
1
,
工藤 朋子
2
1元弘前学院大学看護学部
2岩手県立大学看護学部
pp.94-103
発行日 2020年8月31日
Published Date 2020/8/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200214
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I.緒言
わが国の透析患者総数は2017年末現在,約33万人となり,腎代替療法の中でも血液透析療法が最も普及し,新規導入患者の平均年齢は68.4歳で,原疾患別では,第1位糖尿病性腎症39.0%,第2位慢性糸球体腎炎27.8%,第3位腎硬化症10.3%となっている(日本透析医学会統計調査委員会,2018).背景として,生活習慣病を持つ人々の高齢化が透析導入の高齢化にも影響を与えている.
少子高齢化が進む中,65歳以上の者のいる世帯(以下,高齢者世帯と略す)も増加しており,2017年においては55.5%となっている.さらに高齢者世帯の内訳は,独居26.4%,夫婦のみ32.5%,2世代19.9%,3世代11%である(厚生労働統計協会,2018).これらから,家族形態の小規模化の現状を抱え,高齢者世帯は家族からの支援を期待することが難しい状況にあることが社会的課題である.身体機能が低下した65歳以上の透析患者にとっては,家事従事を含めた社会復帰は困難な状況にあり,通院や日常生活の支援が必要となる(上月,2012).高齢者世帯が増加する中で,高齢者の透析導入においては,家族からの支援を受けづらい状況があるため,通院介助などの社会資源の充実が求められている.
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