第18回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
2.透析室におけるチーム医療の重要性—透析瘙痒症に対する取り組みを通して
高橋 直子
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1特定医療法人あかね会大町土谷クリニック
pp.26-33
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200074
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Ⅰ.はじめに
2010年3月の厚生労働省チーム医療の推進に関する検討会の「チーム医療の推進について」の報告書1)によると,「チーム医療とは,医療に従事する多種多様な医療スタッフが,各々の高い専門性を前提に,目的と情報を共有し,業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い,患者の状況に的確に対応した医療を提供することと一般的に理解されている」と記されている.
質が高く,安心・安全な医療を求める患者・家族の声が高まる一方で,医療の高度化・複雑化に伴う業務の増大により医療現場の疲弊が指摘されるなど,医療のあり方が根本的に問われる今日,チーム医療は,わが国の医療のあり方を変えうるキーワードとして注目を集めており,チーム医療がもたらす効果として,①疾病の早期発見・回復促進・重症化予防など医療・生活の質の向上,②医療の効率性の向上による医療従事者の負担軽減,③医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上,などが期待されている.
そして,チーム医療を推進するために,①各医療スタッフの専門性の向上,②各医療スタッフの役割の拡大,③医療スタッフ間の連携・補完の推進,といった基本方針が挙げられている.
本稿ではまず,「チーム医療の推進について」の報告書による基本方針をふまえながら,透析室におけるチーム医療の重要性について考察し,次に,当院の透析室におけるチーム医療の背景と実情およびチーム医療で取り組む透析瘙痒症治療について述べる.
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