第14回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
2.あらためて,医療安全を考える―医療事故の経験から伝えたいこと
高山 詩穂
1
1架け橋~患者・家族との信頼関係をつなぐ対話研究会
pp.24-30
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100474
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Ⅰ.はじめに
2000年2月,人工呼吸器の加温加湿器に注入する滅菌精製水を消毒用エタノールと取り違え,その後も誤注入を繰り返すという医療事故が起きた.私は最初に容器を取り違えた当事者の看護師である.これまで,刑事裁判・民事裁判・行政処分などを経て,自分にできる償いは何だろうと考え続けてきた.現在は,このような講演活動や,「架け橋~患者・家族との信頼関係をつなぐ対話研究会」(以下,「架け橋」と略す)など,微力ながら自分にできる医療安全に関する活動に取り組んでいる.なぜ,私のような立場で,このような活動をしているのか….それは,「同じ苦しみを繰り返したくない」という思いが胸のなかにあるからである.学会での教育講演では,これまでの経験のなかで学んだこと,考えてきたことを率直に伝えることによって,医療安全や事故後の対応について,改めて考えていただく1つの機会になればと思い,お話しさせていただいた.
今回,学会誌に掲載するにあたっては,どの程度の内容を書けばよいのか迷った.事故の内容および事故後の経過について,言葉でも伝えることが難しい内容なので,文章で伝えるにはより難しく,初めてこの文章を読まれた方には誤解を生じる可能性もあると考えた.そのため,今回は事故が起きた経過に関する詳細は控えさせていただいたので,ご了承いただきたい.
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