第11回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
慢性経過をたどる患者の安全・安楽とQOLにおける看護師の役割―意識障害患者の看護体験から
紙屋 克子
1
1筑波大学
pp.11-14
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100365
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遷延性意識障害患者の調査と問題背景
意識障害の患者の看護は,身体に機能障害をかかえているという意味では腎不全看護と共通する項目も多い.平成17~19年度に厚生労働科学研究費補助金を受けて,「在宅重度障害者に対する効果的な支援の在り方に関する研究」の分担研究を行った.調査の目的は,遷延性意識障害患者の身体および精神機能や介護の実態,福祉サービス利用の現状とニーズ,そして主介護者の健康状態と介護負担感などの実態を把握し,在宅療養における今後の支援のあり方について検討することである.
在宅の意識障害患者は,20~30代の若年層と65歳以上の高齢者層に二極分化していた(図1).意識障害の原因は,若年層では交通外傷やスポーツなどの事故,高齢者では脳血管障害が多い.入院患者には40~50代の人が多く,循環器疾患が原因の意識障害である.遷延性意識障害患者は推定で34,000人といわれているが,実際にはこの何倍もの患者がいると考えられ,今後も増加すると予測される.近年,在院日数の短縮化に伴い,在宅療養患者数が増加すると見込まれる.
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