【調査報告】
2.血液透析導入患者の実態調査―緊急透析導入患者の生活調整を妨げる要因の抽出を試みて
山口 伸子
1
1慶應義塾大学病院
pp.75-80
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100314
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Ⅰ.はじめに
当院は特定機能病院であり,年間約70症例の血液透析導入があり,そのうち約3割は緊急透析導入である.
緊急透析導入(以下,緊急導入とする)は,心身ともに透析導入の準備ができていないにもかかわらず,腎機能が低下し,生命維持が不可能と判断され,透析を導入せざるをえない状況である.これは患者にとって心身の負担が大きく,看護師は患者ができるだけ緊急導入にならないよう支援する必要があると考える.
腎不全保存期(以下,保存期とする)において,患者は食事療法,薬物療法を中心に生活調整を行い,腎機能低下を遅くするよう生活している.私が看護介入を通し緊急導入になった患者の生活を振り返ると,患者は個々に生活調整を妨げる要因をもち,それを解決できずに生活を続けたことが腎機能低下に影響を与えていたと推察された.
文献では,腎硬化症の緊急導入例と待機導入例の保存期および導入期の病態,予後について比較検討したもの1)や,血液透析患者の心理的適応(透析受容)に影響を与える要因について2)示したものはあったが,緊急導入と生活調整のかかわりに焦点を当てたものはなかった.そこで,緊急導入となった患者のカルテから,緊急導入に至る経過・身体状況・透析の準備状況の情報を分析し,緊急導入と生活調整が関係しているかを検証した.また,緊急透析に至る経過で,生活調整が関係していると考えられた患者において,個々の生活調整を妨げる要因の検討をし,患者が緊急導入にならないよう,効果的な看護介入の方法を考察したので報告する.
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