認知症と透析医療
認知症患者に対する透析導入・非導入
中山 昌明
1
,
渡辺 秀平
1福島県立医科大学 腎臓高血圧内科
キーワード:
危険因子
,
血液透析
,
認知症
,
ターミナルケア
,
患者中心医療
,
患者の権利擁護
,
慢性腎臓病
Keyword:
Dementia
,
Renal Dialysis
,
Patient Advocacy
,
Risk Factors
,
Terminal Care
,
Patient-Centered Care
,
Renal Insufficiency, Chronic
pp.1007-1013
発行日 2016年7月10日
Published Date 2016/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016391714
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高齢慢性腎臓病(CKD)患者の認知機能障害は尿毒症自体による影響も関与しているため治療可能な場合もある.したがって,認知症を合併するCKD患者において,維持透析療法の導入の是非を決定する際には,医療者は尿毒症による影響を常に念頭に置く必要がある.透析導入の決定に際して,日本透析医学会は意思の表明,また,自己決定が不可能な患者の場合は,医療チームが家族などの代弁者と話し合い,あるいは第三者を入れた委員会の助言をもって判断することを推奨している.重症認知症例はこれに該当すると考えられる.しかし「生命の維持」に関する見方はさまざまで社会的コンセンサスがないため,認知症をもって非導入とすることには本邦の医療者の多くは逡巡する.将来的には,透析を選択しなくても患者の尊厳と身体的苦痛を予防でき,さらに患者家族の心の安寧が保持されるような包括的な支援体制を構築していくことが必要だろう.
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