指導者の立場から -―女性アスリートを指導する際の留意点―

Leader’s point of view；points to keep in mind when teaching female athletes

要旨：食事制限を徹底的に実施する軽量化戦略は，女性アスリートのパフォーマンス向上には即効性が高いが，長期的にみれば疲労骨折の影響で十分なトレーニングが困難になり，早期リタイアをもたらす可能性が高い。また，一生に関わる健康被害（骨粗鬆症，摂食障害，不妊などのリスク）をもたらす可能性も高い。思春期の女性アスリートにおいては，骨が形成される20歳までは軽量化戦略を避け，骨の貯金をすることが重要である。特に世界レベルを狙うならば，故障しにくい強い骨を形成することが重要である。20歳以降の女性アスリートでは，競技会における最大パフォーマンスの獲得が最重要課題となり，軽量化戦略を用い体重・体脂肪を一時的に減少させる期間を設けるピリオダイゼーションも必要となる。ただし軽量化戦略を長期にわたり継続することは，骨粗鬆症や摂食障害などの重篤な健康被害をもたらすリスクが高いので，その期間はできるだけ短期間に限定する。