【調査報告】
2.外来血液透析者のQOLの実態とその阻害要因
許斐 真弓
1
,
下山 節子
2
,
田中 利恵
2
,
平川 オリエ
2
,
高柳 恵子
3
,
田中 圭子
4
1三井島内科クリニック
2日本赤十字九州国際看護大学
3信愛クリニック
4トーマクリニック
pp.89-94
発行日 2004年11月15日
Published Date 2004/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100197
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Ⅰ.はじめに
わが国の慢性透析療法の現況(2002年12月31日現在)報告1)によると,2002年末の透析人口は229,538人である.近年,透析者のQOLは,透析装置機器の進歩や貧血改善などの薬剤開発により,飛躍的に改善したといわれている.しかし,高井ら2)は,国民標準値と比較すると透析者全体の健康関連QOL (health-related quality of life; HRQOL)得点はすべての下位尺度において低下しており,透析患者自身が,この疾患のために多様な側面において健康度の低下やこれに伴う日常生活の制限を実際に認識していることが定量的に示されたと報告している.
また,透析治療の長期化,透析者の高齢化など,透析者のもつ身体的・社会的・精神的問題がさまざまに変化してきていることも,透析者の大きな健康問題となってきている.われわれ看護者が,透析者のQOL維持・向上に対していかに支援を行っていくかが今後の透析ケアの重要な課題になってくるとともに,透析者の願いもまた,いかにQOLを向上させて,健康的に透析生活を過ごすことができるかにある.
そこで今回,外来通院している血液透析者(以下,HD者)のQOLの実態とその維持・向上を阻んでいる問題を明らかにし,HD者のQOL向上をはかるための看護介入について検討したので報告する.
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