特別企画 母乳哺育の推進へ向けて
桶谷式手技研修会とその広がり
助産婦事典
母乳栄養推進の阻害要因
植地 正文
1
1横浜市立大学小児科
pp.502-506
発行日 1978年8月25日
Published Date 1978/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205418
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1.はじめに
ヒトの新生児・乳児にも,母乳がすぐれた栄養物であることは昔から指摘されていたところであるが,今日のように社会が分化発達してくると,母乳のよさがともすれば忘れられがちになる傾向がみうけられる。1970年代に入って,母乳栄養の免疫学的意義が見直されるようになってから,全世界的にもう一度母乳を見直そうという気運がもりあがり,わが国でも厚生省が中心になって母乳運動を全国的に展開したのは,まだ記憶に新しいところであろう。
昭和49年に行なった東京の愛育病院の母乳栄養率の調査では,新生児期93.4%であったのが生後3か月目には35.3%と激減している。かなり母乳栄養を推進している病院でも,その率は30〜40%であるのが現状である。われわれ小児科医が新生児の感染症を防ぐ立場から,強く母乳栄養を推進していてもなおこの低率であるのはいったい何が原因であろうか?
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