第25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 教育講演3
ともに考え学ぶ患者参画型糖尿病教育の薦め
石橋 照子
1
Teruko Ishibashi
1
1公立大学法人島根県立大学
1The University of Shimane
pp.67-71
発行日 2021年3月31日
Published Date 2021/3/31
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I.はじめに
精神疾患患者における肥満や糖尿病の発症には,日常生活における活動性の低下や療養環境に基づく運動不足,抗精神病薬による過鎮静,不規則な食習慣などの要因が指摘されています(Brown, Birtwistle, Roe & Thompson, 1999;角田・野村・田宮,1992;長嶺,2001).そのため,精神科領域で糖尿病を併せ持つ患者に出会うことは珍しくありません.
糖尿病治療としては服薬治療だけでなく,食事療法や運動療法が重要ですが,認知行動障害を伴う精神疾患患者にとって,疾患を自覚し管理を続けていくことは困難を伴います.そのため,食事療法や運動療法の指導に困難さを実感している医療者も多くいました.また,精神症状の悪化を恐れ,食事療法や運動療法をあまり勧めず,薬物療法中心の糖尿病治療になってしまうケースがよく見られました.
そこで,精神疾患患者に併せた糖尿病教育のあり方を検討する必要があると考えました.まず,精神疾患患者のための患者教育を考えるにあたり,治療ケアが困難な要因を知る必要があると考え,調査研究に取り組みました(石橋・岡村・飯塚,2010).
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