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糖尿病患者の激増は著しく,現代社会の看護に対する期待は大きく,専門性の高い糖尿病看護提供のニーズは高い.最近では,看護師の役割拡大や高度な看護実践を行う看護師の育成などが話題となることが多く,糖尿病看護の専門性について改めて考えさせられる機会も増えてきている.このシンポジウムでは,3名のシンポジストに,①糖尿病看護認定看護師として専門性の高い実践の経験と認定看護師教育課程での教育現場での経験から,②看護実践モデルの開発と評価を研究している立場から,③看護師育成の研究の立場から,専門性の高い看護師に必要とされる能力は何か,高い専門能力を習得するためにどのような過程が重要であるか,今後の看護師育成の方向性についてご講演をいただいた.
以上の3名のシンポジストのご講演からは,援助を考えていく上で看護師の思考に専門性が隠されているも,ベテラン看護師は高度な実践を感覚で行っていることも多く,十分に意識していなかったり,言語化できなかったりしているのではないかという話題からディスカッションが進められた.その中で,看護師ひとりで見えるものには限界があるので,互いに看護と思考を言語化することで現場の複雑で高度な思考を整理して伝えていく必要性について意見が交わされた.また,看護師が思考の意識化を訓練していく教育として,繰り返し事例検討を実施していくことが大切であることが話し合われた.事例検討で,看護師がお互いの看護を振り返ることで,実践でうまくいったこと,うまくいかなかったことの振り返りのみでなく,振り返るときに着目する視点が多角的になることに繋がっていくのではないだろうかという意見交換もなされた.加えて,看護に対する熱意を持ち続け,楽しさとやりがいを感じるように看護師同士で話し合う後輩指導・看護師教育が大切であることを改めて考えさせられた.また,最終的には看護師自身の感性を育てることが大事であることが確認された.感性や実践を振り返るときの視点を育てるために臨床現場での日々の実践を大切にして,意識しながら言語化していくことを看護師同士で話し合うことは,実践できそうなことではないかと感じた.
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