第11回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
糖尿病教育・看護における標準化への挑戦―いかに標準化すれば,患者支援となるか
伊波 早苗
1
Sanae Iha
1
1滋賀医科大学医学部附属病院 看護部 継続看護室
1Shiga University of Medical Science Hospital
pp.84-88
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
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Ⅰ.標準化と個別化とは
医療の効率化・経済性・質の保証・質向上・継続的な質改善という視点から,看護の標準化が求められるようになってきた.一方,看護は,対象の反応に働きかけるものであるといわれており,個別性を重視してきた.そのため,標準化は看護の個別性,看護そのものに対立するものと危惧する声も多く聴かれた.そういった声に対して,
①標準化は最低レベルを保証しており,それに個別性を足せばいいので,以前より個別性を出しやすい.
②標準があれば,それに合わないところが見えてくるので,逆に患者の個別性を見極める武器ともなる.
③個別性を考えるだけの時間を生み出すことができる.
などの反論が多くみられ,標準化と個別化は対立しないというのが一般的な考えとなっている.しかし,実際には,標準に合わない患者がいると,「うまくいかない」,「また入院してきた」,「入院中に隠れ食いしている」など患者の個別性をみるというより,やる気がない・自己管理できない患者という見方を誘導してしまう可能性ももっている側面もみられる.
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