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研究報告
透析導入時期にある2型糖尿病患者が家族を思い描くという現象
Consideration for family by patients with Type 2 diabetes in the introduction phase of dialysis treatment
木本 未来
1
,
稲垣 美智子
2
Miki Kimoto
1
,
Michiko Inagaki
2
1金沢医科大学 看護学部
2金沢大学 医薬保健研究域保健学系
1Kanazawa Medical University School of Nursing
2Faculty of Health Sciences, Institute of Medical, Pharmaceutical and Health Sciences, Kanazawa University
キーワード:
2型糖尿病
,
透析導入
,
家族
,
現象学
,
思い描く
Keyword:
2型糖尿病
,
透析導入
,
家族
,
現象学
,
思い描く
pp.23-30
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
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本研究の目的は,透析導入時期の2型糖尿病患者が家族を思い描くという現象の意味を探求することである.現象学的アプローチを用いて,9名の研究参加者に非構造化面接を実施し,得られたデータを分析した.その結果,7つのテーマと全体構造が見出された.
①常にどこかで死を身近に感じながら,家族が困らないように準備をし,ひと安心している②透析しながら生きて生活していく自分として,生きていくことへの気力を失いながら,その気持ちを家族の中で一人持ち続ける③家族の中に映る自分の姿が,ときには生きていくことに価値のある自分として浮かび上がる④家族の中に映る自分の姿が,ときには生きていくことに価値のない自分として浮かび上がる⑤家族メンバーとして役割を果たせない自分,自分の病に対して負い目に捉える自分が潜んでいる⑥今の状態を見つめるために今とは違う時代,糖尿病時代として,その時期の自分と家族とをつなげて振り返る⑦自分を必要とする家族の姿を描ける瞬間,透析しながら生きて生活していく自分として,生きる目的を見つけることができる
透析導入時期にある2型糖尿病患者は,透析しながら生きて生活していく自分としてこれからを生きていこうとするために,家族を思い描くことによって,家族に自分を映し,家族との関係の中にある自分として見つめ,糖尿病時代を振り返り,現在を見直そうとする,家族に思いを抱くという体験をしていた.
以上より,患者が「家族に思いを抱く」体験を十分に活用したケアの重要性が示唆された.
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