第11回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
現在のケアを標準とするのか,それとも一段上のケアを標準とするのか―実現可能性の高い,半歩上のケアアルゴリズム案
河口 てる子
1
Teruko Kawaguchi
1
1日本赤十字看護大学
1The Japanese Red Cross College of Nursing
pp.88-92
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
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標準看護のケアの質レベルの設定
標準看護とは,「これ以下の水準は,糖尿病看護とは認めない」という最低基準の看護であり,看護の質保証ともいうべきものである.そうなると,標準看護と決定されたものが,どのレベルであるかが重要である.標準看護が,現在一般的に行われている看護レベルに設定されるのか,認定看護師らのアドバンスレベルに設定されるのかにより,質保証のレベルも,広範囲に使われる標準看護になりうるかも,異なってくる.特に,専門外来,または一般外来でポピュラーに行われているケアと標準看護とが,どの程度の差異となっているかが問題になる.差異が大きければ,広範囲な医療施設で使われることはなく,逆に差異が小さければ,現在のポピュラーなケアと同じで,ケアの質向上の可能性が低くなる.
現在のポピュラーなケアがよいケアとは言い難いので,ポピュラーなケアを標準看護とするには危惧をいだくのである.つまり,ポピュラーなケアが標準看護というお墨付きをもらうことにより,ポピュラーなケアで十分との誤解を生み,看護の質向上の機会を逃す可能性が大きいと思われるのである.しかし,糖尿病の専門外来を行っている国内の病院・診療所で,単に情報提供のみではない上質な教育を行っているところはあまり多くはなく,上質なケアを見込める糖尿病看護認定看護師や力のある糖尿病療養指導士は,まだまだ少数である.たとえ上質なケアを標準看護と定めたとしても,該当するところがなければ絵に描いた餅になるかもしれない.
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