第8回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
インスリン導入への不安―薬剤師の立場から
朝倉 俊成
1
Toshinari Asakura
1
1太田西ノ内病院薬剤部
1Department of Pharmacy, Ohta Nishinouchi Hospital
pp.66-69
発行日 2004年3月15日
Published Date 2004/3/15
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はじめに
糖尿病治療において,薬物療法は食事療法・運動療法を補う位置づけになっている.しかし,薬物療法で注意しなければならないことは,医薬品の効果は食事や運動よりも劇的であり,危険性も高いということである(表 1).すなわち,医薬品は患者の意思にかかわらず効力を発揮するので,患者心理はどうであっても薬剤師の立場からは「医薬品を適正に使用する」ことを求めざるをえない.
しかし,インスリン製剤は経口剤とは違って,きわめて quality of life(QOL)を低下させてしまう“注射”によってのみ投与される.また,患者が“劇薬”であるインスリン製剤を自己注射するという点でも医療事故を回避するための十分な指導を行わなくてはならない.したがって,インスリン療法は導入時点だけの問題ではなく,適正なインスリン自己注射を継続するという点で,患者心理を把握しながらアプローチしなければならない.
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