第7回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●会長講演
糖尿病患者への真の貢献をめざして―患者理解と援助の立脚点をあらためて問う
佐藤 栄子
1
Eiko Sato
1
1愛知県立看護大学
1Aichi Prefectural College of Nursing & Health
pp.39-48
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
Ⅰ.今日の健康教育・患者教育をとりまく変化
糖尿病患者をとりまく環境は,大きく変化しております.世界の糖尿病人口は,国際糖尿病連盟の調査によれば1億5,090万人,日本の糖尿病人口が690万人ということはご承知のとおりです.糖尿病患者数は,ますますの増加が予測されています.また,65歳以上の老年人口,75歳以上の後期老年人口の増加に伴い,糖尿病患者の高齢化も予測されます.また,糖尿病の進行した合併症,網膜症による失明,腎症による人工透析,足病変なども増加をしています.
こうした背景に加えて,医療全体も大きく変化しております.国民の生活意識の変化,医療知識・技術の進歩,治療法・救命救急・リハビリテーションの発達により,家庭に帰ることのできる患者が多くなっています.経済的問題などもあります.こうした背景を受けて,糖尿病医療・看護に対して,健康教育・患者教育の重要性,より質の高い医療・看護,医療従事者の高い専門性・指導性,また患者とともに考える医療へのニーズがますます高まっていると考えられます(表1).
Copyright © 2003, Japan Academy of Diabetes Education and Nursing. All rights reserved.