増刊号特集 1.博士論文を書くということ─あのときの問いといまの問い
問うこと,追い求めること,貢献すること
大久保 暢子
1
1聖路加国際大学看護学部
pp.293-297
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100919
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あのときの問い
博士論文テーマの背景となった経験
博士論文テーマに至った背景は,もともとは臨床時代の経験である。20代の臨床経験が,その時点では明確な言葉で表現できず,現象を的確に語れずとも脳裏にあり,それに対する疑問の謎解きをしたいと思ったからである。この明確でない現象を的確な言葉で表現し,その現象から見えてきた臨床経験(実践)の疑問に研究として挑んだのが修士論文(以下,修論)といえる。そして,修論で明らかになった研究課題を,社会貢献をめざした研究にするために,博士論文(以下,博論)に取り組んだと考えている。
ここからは具体的に説明していきたい。臨床時代,脳神経外科病棟に勤務していた私は,遷延性意識障害患者のケアに取り組んでいた。ケアの1つが離床であり,離床した上で味覚や聴覚刺激を与えていた。離床方法は看護師によってさまざまで,車椅子に移乗させる看護師,ベッド上端座位にして隣に座り,語り掛ける看護師,ベッドの頭部を80度程度挙上し,ギャッヂアップ座位といわれるベッド上座位を提供する看護師らがいた。
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