Japanese
English
【事例報告】
小児期発症の2型糖尿病患者2事例の検討―病気と療養行動の認識に変化をきたした要因の分析
The Case Study of 2 Patients with Early-Onset Type 2 Diabetes Mellitus: Changing Factors of Their Perceptions about Disease and Self-Care Behaviors
中村 伸枝
1
,
出野 慶子
2
,
徳田 友
3
,
今野 美紀
4
,
兼松 百合子
5
,
宮本 茂樹
6
Nobue Nakamura
1
,
Keiko Ideno
2
,
Tomo Tokuda
3
,
Miki Konno
4
,
Yuriko Kanematsu
5
,
Shigeki Miyamoto
6
1千葉大学看護学部
2東邦大学医療短期大学
3千葉大学医学部付属病院
4札幌医科大学保健医療学部
5岩手県立大学看護学部
6千葉県こども病院内分泌科
1School of Nursing, Chiba University
2College of Health Professions, Toho University
3Chiba University Hospital
4School of Health Sciences, Sapporo Medical University
5Faculty of Nursing, Iwate prefectural University
6Chiba Children's Hospital
キーワード:
小児期発症
,
2型糖尿病
,
慢性合併症
,
療養行動
Keyword:
小児期発症
,
2型糖尿病
,
慢性合併症
,
療養行動
pp.101-107
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
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小児期発症の2型糖尿病患者の病気と療養行動に関する認識をとらえるために,合併症発症後,療養行動と血糖コントロールが改善した2事例に,病気と療養行動に関する認識が変化した時点で実施した半構成面接と,外来での経過をもとに事例検討を行った.その結果,病気と療養行動の認識に変化をきたした要因として以下が得られた.2事例の患者がインスリン注射を必要だと認識したのは,患者がインスリン注射を中断し,ケトーシスを起こしてからであった.患者は,病気と合併症について経過をありのままに受けとめており,複数の合併症を発症し,サポートも少ないなかで,「合併症をこれ以上増やさないようにがんばる」と前向きにとらえていた.2事例ともに糖尿病の家族歴があり,1事例では,糖尿病の慢性合併症により母親が死去していた.しかし,家族全体の療養行動への取り組みは伺えず,患者は,家族の影響力は少なく,家族は自分の病気を理解していないととらえていた.
以上の結果より,小児期発症の2型糖尿病患者の看護援助は,患者が糖尿病を受けとめ,療養行動を生活のなかに組み込んでいけるように,年齢や患者の関心に合わせて継続して援助していくことが必要であり,インスリン注射や外来受診の継続,家族を含めた援助について1型糖尿病とは違ったかかわりが必要であると考えられた.
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