日本看護倫理学会第8回年次大会 シンポジウムⅢ
自己決定に支援が必要な患者の権利擁護:急性期病院における認知症高齢者の擁護者としての看護師の役割/精神障碍者の身体疾患治療の問題:救急受診をめぐって/臨床現場における倫理的問題の認識と解決にむけた取り組み
細見 明代
1
,
大西 香代子
2
,
稲野 聖子
3
,
新澤 克憲
4
,
吉井 ひろ子
5
1兵庫医療大学看護学部
2園田学園女子大学人間健康学部
3市立池田病院
4就労継続支援B型事業所ハーモニー
5兵庫医科大学病院リエゾン精神看護
pp.91-93
発行日 2016年3月20日
Published Date 2016/3/20
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- 文献概要
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本シンポジウムでは、自己決定に支援が必要で権利侵害が生じやすい対象者として、認知症と精神障碍の患者に焦点を当て、まず3名のシンポジストによる発表が行われた。最初は、市立池田病院の稲野聖子氏が「急性期病院における認知症高齢者の権利擁護に関する問題」として老人看護CNSに相談のあった4事例を紹介、看護師が問題行動ととらえる背景に高齢者への偏ったみかたや多様な価値を尊重する重要性が理解できていないこと、看護職に認知症高齢者の代弁者としての役割があることを認識できていないことを挙げられた。今後は、高齢者の意思を尊重したケアが提供できるよう、ケア提供者への教育とともに、多様な価値を尊重できる組織づくりが重要であると提案された。
次いで、就労継続支援B型事業所 ハーモニーの新澤克憲氏からは「精神障碍者の身体疾患治療の問題:救急受診をめぐって」と題して問題提議がなされた。これまでの例から、救急受診して治療にうまくつながるのは、身体診療を行っている精神科への受診や搬送先での受診歴がある場合などで、逆に救急車で地元の総合病院などに搬送されても、精神科患者であることを理由に診察を拒否され、命に関わる事態となってしまうこと、その背景として精神障碍者には「同意できない」「治療のコンプライアンスが悪い」との思い込みがあるのではないかとの指摘がなされた。
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