Japanese
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特集 脳卒中の機能障害―評価を中心に
歩行機能の評価―歩行分析を中心に
Evaluation of the Gait Ability of Hemiplegic Patients from the Point of View of Gait Analysis.
山本 澄子
1
Sumiko Yamamoto
1
1東京都補装具研究所
1Tokyo Metropolitan Prosthetic and Orthotic Research Institute
キーワード:
片麻痺歩行
,
歩行分析
Keyword:
片麻痺歩行
,
歩行分析
pp.1129-1135
発行日 1996年12月10日
Published Date 1996/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108254
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はじめに
脳卒中後遺症による片麻痺者の歩行は健常者の歩行と大きく異なる.片麻痺者の治療・訓練過程において歩行の状態を知り,的確に評価することは重要である.現在は視察による評価が一般的であるが,近年の計測機器の発達により機器を使用した歩行評価がより簡便に行えるようになりつつある.
片麻痺者の歩行評価には大きく分けて4つの目的がある.1つは片麻痺者の病態解析である.これは,片麻痺の原因である中枢神経系の障害によって生じる運動コントロールの異常の本態を明らかにすることである.2つめは治療・訓練方法の効果判定である.治療前後,訓練前後の歩行の比較,回復過程の経時変化の把握などがこの分類に含まれる.3つめは治療・訓練方法の開発である.片麻痺者の現在の状態から何が不足しているかを推測して,治療・訓練方法開発の基礎データとする.装具の設計,機能的電気刺激の刺激パターンの作成などがこの分類である.4つめは治療・訓練方法の決定である.これは個々の片麻痺者の現在の状態から将来を予測するもので,内反尖足に対する腱延長術の術式の決定などがある.
本稿の目的は,これらの目的に対して歩行分析がどのように寄与できるのかを述べることである.ここではまず,片麻痺者の歩行の特徴を概説し,これらの特徴を計測するための歩行分析の現状と問題点について述べる.さらに,片麻痺者を対象とした歩行分析を行う際の注意点を述べる.
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