連載 リハビリテーション医学研究のこれから
急性期病院におけるVRリハビリテーション—新たな技術を取り入れたリハビリテーション治療の提供をめざして
徳永 貴久
1
,
中原 康雄
1
,
緒方 直史
1
1帝京大学医学部リハビリテーション科
pp.1146-1147
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
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リハビリテーション医学の分野では,エビデンスに基づいた治療や新しい技術の導入など,さらなる発展に向けて研究の重要性が高まっており,さまざまな研究の取り組みが盛んとなっている.当院リハビリテーション科でも,脆弱性骨折患者に対する臨床コホート研究や,がん治療によるがん患者の運動器に及ぼす影響として「がんロコモ」の研究,アシスト機能付き歩行装置(Ankle-Assist Device)を用いた研究など,リハビリテーション治療への還元をめざした研究を進めている.その中で今回は,新たな技術の導入に向けた研究として行っている,バーチャルリアリティ(virtual reality:VR)を用いた臨床への取り組みを紹介する.
VRは仮想現実ともいわれており,コンピュータにより合成されたCGや映像の効果により,特定の機器を装着することで3D空間内にVR体験者の身体が投影され,その空間内へ360°3Dの世界に入り込む没入感を得ることのできる技術である.VRの活用が最も進んでいる分野はゲームの領域であるが,それ以外でもビジネス,通信,教育などの分野でも活用が始まっている.医療の分野でも徐々にVR技術の研究・活用が進んできており,手術シミュレーション,幻肢痛などの疼痛管理や心的外傷後ストレス障害を克服する治療法としても研究されている.リハビリテーション医療の分野でも,すでに回復期や生活期でのVRの活用が始まっている1).
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