連載 リハビリテーション医学研究のこれから
急性期病院における転倒予防
尾崎 まり
1
,
萩野 浩
1
1鳥取大学医学部附属病院リハビリテーション科
pp.934-935
発行日 2022年9月18日
Published Date 2022/9/18
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わが国における不慮の事故による死亡の中で,転倒・転落事故が年々増加している.2020年には25.2%となり,交通事故死,窒息を上回り,不慮の事故死の原因の1位となっている1).「転倒・転落事故」は病院のインシデントレポートの中で常に報告数が上位に位置している.転倒・転落事故は大腿骨骨折や頭蓋内血腫などの重篤な外傷を引き起こし,過去に死亡例も報告されている.病院での転倒・転落事故は訴訟に至るケースもあり,医療側に予見義務と注意義務が厳しく求められる場合もある2).
当院では,2010年に転倒による死亡例が発生したことから,同年に多職種で構成する転倒・転落予防チーム(以下,チーム)を発足させた.このチームは,医師,看護師,理学療法士,作業療法士,薬剤師,施設環境課,医療サービス課職員で構成されており,その他,多部署が協力部門として参加している.チームカンファレンスの開催,転倒した患者に対する再転倒予防と転倒リスクが高い患者に対する転倒未然防止のための病棟ラウンドを行って,転倒・転落防止に役立てている.リハビリテーション科医はチームリーダー,副リーダーとして,また療法士はコアメンバーとして活動しており,研究成果も発表している.今回は,その取り組みについて報告する.
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