連載 リハビリテーション医学研究のこれから
遺伝子改変ラットを用いた筋萎縮時のオキシトシンの役割の解明
橋本 弘史
1
,
美津島 隆
1
1獨協医科大学リハビリテーション科
pp.206-208
発行日 2022年2月18日
Published Date 2022/2/18
- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
超高齢社会の本邦において,健康寿命を伸ばすことは近々の問題である.介護が必要な状態で寿命だけ延長したところで,生活の質の観点からいえば決して満足できるものではないからである.そこで,要支援・要介護になった原因を調べてみると,「骨折転倒や関節疾患などにより運動器障害」や「脳血管障害」「高齢による衰弱」が50%以上を占めることがわかった(厚生労働省2019年国民生活基礎調査).安静臥床により,1日約数%,1カ月に約50%の筋力低下が引き起こされるとされ,予防をはじめ,薬物や手術療法およびリハビリテーション治療によって,いかに健康寿命を伸ばすかが課題である.中でも骨格筋の再生能力は年齢とともに衰えるが,一方,筋肉量が多いほど長寿であることが明らかになってきており,運動療法を含めたリハビリテーション治療の重要性が注目を集めている.
近年,マウスの研究において,下垂体後葉ホルモンであるオキシトシン(oxytocin:OT)が年齢とともに減少し,OTを高齢マウスに投与すると筋肉の再生が誘導されることが示された1).われわれはOTのこの生理作用に着目して,筋萎縮モデルラットにおけるOTの役割とその作用機構の解明を目的に研究を行っている.
Copyright © 2022, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.