Japanese
English
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨
目的:本研究の目的は全身炎症と脳卒中回復期患者のサルコペニアおよび機能的アウトカムとの関連を調査することである.
方法:回復期リハビリテーション病棟に連続入院した患者を対象に,後ろ向きコホート研究を行った.急性または慢性の高度炎症性疾患を有する患者は除外した.全身炎症はmodified Glasgow Prognostic Score(mGPS)を用いて評価した.サルコペニアはAsian Working Group for Sarcopeniaのカットオフ値を用いて,骨格筋量の減少および筋力の低下で定義した.主要評価項目はFunctional Independence Measureの運動項目(FIM-motor)とした.単変量解析および多変量解析を用いてmGPSとサルコペニアおよび退院時FIM-motorとの関連性を検証した.
結果:本研究では204名の患者(平均年齢74.1歳,男性109人,女性95人)を解析対象とした.mGPSスコアが0,1,2の患者はそれぞれ149名(73.0%),40名(19.6%),13名(6.4%)であった.サルコペニアは81名(39.7%)の患者で診断され,脳卒中の既往歴(オッズ比〔OR〕1.890,p=0.027),病前のmodified Rankin Scale(OR 1.520,p=0.040),Body Mass Index(OR 0.858,p=0.022),mGPSスコア(OR 1.380,p=0.021)と独立して関連していた.さらに,mGPSスコアは退院時FIM-motorと独立して関連していた(β=−0.134,p=0.038).
結論:全身炎症は,脳卒中の回復期におけるサルコペニアや機能的アウトカム不良と密接に関連していた.全身炎症とサルコペニアの早期発見は,脳卒中後の患者の骨格筋量の増加や機能回復の向上のために,適切な運動療法と栄養療法の両方を促進するのに役立つ可能性がある.
Copyright © 2021, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.