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教育講座
摂食嚥下障害の評価と治療立案
The Dysphagia Evaluation and Treatment
柴田 斉子
1
Seiko Shibata
1
1藤田医科大学リハビリテーション医学Ⅰ講座
キーワード:
摂食嚥下障害
,
評価
,
スクリーニング
,
治療
,
誤嚥性肺炎
Keyword:
摂食嚥下障害
,
評価
,
スクリーニング
,
治療
,
誤嚥性肺炎
pp.948-955
発行日 2020年10月16日
Published Date 2020/10/16
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はじめに
摂食嚥下障害は身近な問題である.「肺炎は老人の友」とは,1898年にウィリアム・オスラーが述べた言葉であるが,100年以上経過した現在にもあてはまる.日本の高齢化率は2020年2月に28.6%となり過去最高を更新した1).2018年人口動態統計2)で,日本人の死因は1位から順に,悪性新生物,心疾患,老衰,脳血管疾患,肺炎,不慮の事故,誤嚥性肺炎の順であった.不慮の事故の内訳は1位が窒息であり,誤嚥性肺炎とともにその発生には 摂食嚥下障害が深くかかわる.また,死因の上位にも摂食嚥下障害を伴うことが多い疾患が並んでおり,摂食嚥下障害の治療の機会は高い.2011年の調査で,摂食嚥下障害患者の割合は急性期般病床で13.6%,回復期リハビリテーション病棟で31.6%,介護福祉施設にも多くの摂食嚥下障害患者が存在する(図1)3).加齢に伴う生理的な咀嚼・嚥下機能の減退の状態を老嚥(presbyphagia)と呼び,その延長線上に誤嚥や窒息を考えなくてはならない.近年,高齢者の病態としてサルコペニアが注目され,全身の筋と同様に嚥下関連筋群にも筋量減少が生じ,それが摂食嚥下障害の要因となることや,逆に摂食嚥下障害に伴う低栄養が二次性サルコペニアを生じ回復を難しくすることもある.したがって,高齢者では特に,不要な絶食期間をなくし,適切な栄養管理下で活動を継続できるよう,摂食嚥下障害の評価を行うことが求められる.
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