Japanese
English
教育講座
咀嚼を意識した摂食嚥下障害の評価と治療
Concept of Chew-swallow Complex for Evaluation and Treatment of Dysphagia
柴田 斉子
1
,
加賀谷 斉
1
,
小野木 啓子
1
,
松尾 浩一郎
1
,
稲本 陽子
1
,
青柳 陽一郎
1
,
戸田 芙美
1
,
赤堀 遼子
1
,
小川 真央
1
,
才藤 栄一
1
Seiko Shibata
1
,
Hitoshi Kagaya
1
,
Keiko Onogi
1
,
Koichiro Matsuo
1
,
Yoko Inamoto
1
,
Yoichiro Aoyagi
1
,
Fumi Toda
1
,
Ryoko Akahori
1
,
Mao Ogawa
1
,
Eiichi Saitoh
1
1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座
キーワード:
摂食嚥下障害
,
咀嚼嚥下複合体
,
プロセスモデル
,
評価
,
治療
Keyword:
摂食嚥下障害
,
咀嚼嚥下複合体
,
プロセスモデル
,
評価
,
治療
pp.986-992
発行日 2017年12月18日
Published Date 2017/12/18
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咀嚼嚥下複合体とは
われわれは「飲む(drinking)」と「食べる(eating)」の2つの摂食形態を有し,食事を楽しみながら,食物の形態によって無意識にこの2つの形態を使い分けています.しかし,これまで摂食嚥下機能の評価は飲み込むことに注目して進められてきました.これは,1960年代に嚥下造影検査が開始された当初はcinegraphyを用いていたことに起因します.照射線量の多いcinegraphyでは被曝の低減の観点から,計画された一口嚥下(discrete swallow),つまり,決められた量の液体を口に含み,検査者の合図に従って嚥下する様式の評価が中心に行われ,ビデオ嚥下造影検査(videofluorographic examination of swallowing:VF)に移行してからもその方法が継承されてきました.一方で,咀嚼は篩分法などを用いていかに食材を細かく粉砕できるかに着目されたため,cinegraphyでは評価されず,口腔と咽頭は別々に評価されてきました.しかし,1997年にHiiemaeとPalmerがプロセスモデルを発表し1, 2),discrete swallowと咀嚼嚥下(chew-swallow)がまったく異なる動態を呈することが再確認されました.われわれはプロセスモデルの考えに基づき,口腔期の咀嚼,食塊形成,送り込みから咽頭期の嚥下までを咀嚼嚥下複合体と表現し,その一連の運動の評価が重要であると考えています.
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