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特集 障害受容・適応再考
5 私の障害受容—発症10年目を過ぎた脳卒中当事者として今思うこと
Acceptance of Disability : My View of Disabilities as a Chronic Stroke Patient with More-than-ten-years of History
関 啓子
1
Keiko Seki
1
1三鷹高次脳機能障害研究所
キーワード:
障害受容
,
脳卒中
,
当事者
,
バリアバリュー
,
役割
Keyword:
障害受容
,
脳卒中
,
当事者
,
バリアバリュー
,
役割
pp.920-929
発行日 2020年10月16日
Published Date 2020/10/16
- 販売していません
- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
要旨 発症後「10年ひと昔」の節目を越えた慢性期脳卒中当事者の言語聴覚士(ST)である筆者の障害受容について述べた.筆者は右半球損傷発症後後遺症を抱え長期にわたり多くの困難を乗り越えてきた.当初あった高次脳機能障害は専門家としてもっていた「知識」「病識」「意識」のおかげで大半は早期に消失し,現時点では利き手である左上肢の麻痺と軽度の発話障害が残存している.発症時,自分が負った障害に対して筆者は悔しい,寂しい,腹立たしい,などの負の感情を抱いた一方で,前向きな感情もあった.臨床家としての経験から,当事者は自分の障害を残りの人生をかけて負わねばならないことを筆者は知っており,過去の経緯と考え併せ,今後自分の経験を語ることによって他者に貢献することが自分の役割と判断し,発症直後から音声,動画,日記などで経験を記録し書籍2冊にまとめた.同様に,筆者は生活期に苦悩する当事者・家族のための相談機関を設立した.
筆者の「障害受容」は当事者の内側からの「バリアバリュー」(障害を価値に変える)という考え方に集約できる.今後,障害があっても,「役割を自覚し,障害を価値に変える」生き方をし,社会に貢献していきたい.
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