リハニュース【リハ医への期待】
第32回 言語聴覚士の立場から
深浦 順一
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1日本言語聴覚士協会
pp.317
発行日 2017年4月18日
Published Date 2017/4/18
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1.言語聴覚士の現状と課題
1999年3月に実施された第1回国家試験で4,003名の言語聴覚士が誕生した.その後毎年約1,500名ずつ合格し,2017年の第19回国家試験合格者を加えると29,000名を超える有資格者数となった.しかし,この数は社会の需要からみると大幅に不足している.さらに,20〜30歳代が全体の80%と若い言語聴覚士が多数を占めており,その質の向上を重点課題と考えている.本協会の生涯学習システムは,卒後3年程度で履修してほしい基礎プログラムと5つの専門領域を中心に生涯学び続けるための専門プログラムから構成されている.また,2008年度より認定言語聴覚士の講習会を開始し,摂食・嚥下障害領域,失語症・高次脳機能障害領域,言語発達障害領域,聴覚障害領域が実施されている.今後発声・発語障害領域も開講する予定である.受講者の拡大が大きな課題である.
この18年間で,高齢者を対象としたリハビリテーション(以下,リハ)病院に所属する言語聴覚士が急増している.その中で,生活期リハを支える介護保険事業所に所属する者も増えてはいるが,その絶対数は会員全体の9%とまだ少ない.また,言語発達障害や小児聴覚障害を対象とする言語聴覚士も高齢者領域に比べてその増加率は低い.発達障害に対する支援の重要性が叫ばれている中で,特別支援教育との連携も含めて大きな課題である.
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