第51回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 シンポジウム◎最新の活動計測—活動を測る—
食べるを測る:嚥下CTを用いた新しい嚥下機能評価
稲本 陽子
1
,
才藤 栄一
2
1藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科
2藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座
pp.36-41
発行日 2015年1月18日
Published Date 2015/1/18
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はじめに
摂食嚥下リハビリテーション(以下,リハ)は1980年代から重要性が認識されるようになり,その後30年あまりで急速に発展し,リハ医学にとって中心的な領域の1つとなっている.この急速な発展の裏には,嚥下の画像評価法の発展が挙げられる.
嚥下評価の転機は嚥下造影検査によって嚥下が見えるようになりその活用が臨床場面で始まったことにある.それ以前からもcineradiographyがありしばしば嚥下評価に用いられていたが,放射線量が高く臨床実用には至っていなかった.嚥下造影検査によりそれまで見えなかった誤嚥を評価できるようになりリスク管理が可能となった.さらには,誤嚥や咽頭残留など結果の知識およびそれらを回避するための姿勢や食形態や嚥下手技などパフォーマンスの知識の双方を提供できる治療的評価の手段として欠かせない評価法となった.
しかし嚥下造影は投影像であるため,複雑な3次元動態観察や運動学的解析には限界を有した.そのため喉頭閉鎖などいくつかの重要な嚥下のメカニズムはいまだ一致した見解が得られていなかった.このなか320列面検出器型コンピューター断層撮影装置(CT)(320-ADCT)は世界初の嚥下動態の3次元描出をもたらし,嚥下評価法に新しい水平線を導いた.2009年に開発された320-ADCTは優れた空間分解能(0.5mm四方)と満足すべき時間分解能(10フレーム/秒)を持ち,嚥下運動を3次元的に精緻かつ定量的に観察することができるようになり,新たな展開を創りだしつつある.現在は「嚥下CT」と称され,嚥下機能評価ツールの1つとして,臨床応用が加速している1,2).
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