第49回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/福岡 《特別講演》
嚥下CTの登場:嚥下研究の新しい地平線
才藤 栄一
1
,
稲本 陽子
1
,
柴田 斉子
1
1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座
pp.879-884
発行日 2012年12月18日
Published Date 2012/12/18
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はじめに
診断・評価のインパクトは,「発見性」「確認性」「記録・伝達性」の3要素で決定される.「発見性」は,今まで見ることができなかったものが見えるようになること,「確認性」は,今まで分かっていたことを定量化,確認すること,「記録・伝達性」は事象を正確に記録・伝達することである.嚥下障害の臨床では,嚥下造影(VF)や嚥下内視鏡(VE)の登場は,この3点において大きなインパクトを与え,臨床・研究のゴールデンスタンダードとして広く用いられている.両者の有用性は明確であるが,定量化,部位識別性などの限界も明らかであり,嚥下中の喉頭動態など,未解決の課題が存在した.
320列面検出器型CT(320-ADCT)はきわめて優れた空間分解能(辺0.5mm boxel)と満足すべき時間分解能(再構成10frs/sec)を有する世界最新のCT装置であり,2007年10月に開発された.この320-ADCTの登場は,嚥下動態の立体的動態表示を可能とした.立体的動態表示により,1)諸器官の動態を任意方向から観察可能,2)諸事象を同時に観察可能,3)動態の正確な定量化が可能となり,嚥下運動のメカニズムに新たな知見をもたらしつつある.そして「発見性」「確認性」「記録・伝達性」を併せもつ新たな評価法としてその有用性が認識され始めている.
本稿では,320-ADCTがもたらした新たな嚥下評価の可能性について紹介する.
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