- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
様々な関節の動きが組み合わされて体の動きが形成されている.丁度車のパーツが組み合されて車全体ができあがるのと同じである.乗り心地や故障について論じる際にはそのパーツの構造やメカニズムに精通しなければ,どこに原因があり,どう治すべきかを論ずることはできない.
しかしこれまで関節の動きを知ることの必要性は痛感されていたが,皮膚内に覆われた関節動態を正確に評価することは方法が確立されていなかったために不可能であった.肩の運動は肋骨に対する肩甲骨(肩甲胸郭関節),肩甲骨に対する上腕骨(肩甲上腕関節)により構成されているが,肩関節拘縮の際の肩甲骨の動きは異常であることは予想されているものの,どのように異常であるかはほとんど明らかにされていなかった.皮膚マーカーを用いた動態解析手法では肩甲骨上に設置されたマーカーの下を肩関節動作に伴い肩甲骨が大きく動くことから,如何に誤差の大きい手法であるかがわかる.
我々の教室では十数年前より独自に骨関節の3次元動態を解析するシステムを開発してきた.これは従来のコンピュータ断層撮影(CT),磁気共鳴画像(MRI),X線イメージ装置を用いて3次元動態解析を行うという技術である.1つの方法はX線イメージ画像からその画像が撮影された骨の空間位置座標を推定するものである(2D-3Dレジストレーション法).さらにもう1つは関節動態の軌跡上での複数肢位でCTまたはMRI撮影を行い,各肢位で撮像された画像から骨の移動距離,移動回転角度を算出する方法である(voxel based registration法).これらの方法は組み合わせたりすることでほぼすべての骨関節の動きを解析できるようになった.
Copyright © 2015, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.