連載 衛生制度の開拓者たち—明治はじめ京都における政策をめぐって・1【新連載】
新しい地平
小野 尚香
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.832-835
発行日 1993年10月10日
Published Date 1993/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900773
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京都は古い千年の都のあった町です。いにしえの伝統と遺産を受けつぎながら,次の時代の風を繊細に受けとめ,新しい地平をきり開いてきた町です。明治という時代をむかえて,都は東京に移されました。近代社会へと移りかわっていく試練と希望のなかで,新たな制度がつぎつぎと誕生してきました。
衛生が社会化され,制度のなかに組みこまれたのも,近代という時代の必然であったかもしれません。明治はじめ,京都ですすめられた衛生政策には,その風土のゆえに生まれたのでないかと思われる特性や施策方法が映しだされています。そこには新しい時代に生き,実践した人々の情熱や理念がいきいきと織りなされています。本稿では,京都という町を舞台として,衛生制度の確立に活躍した人たちの歩みのあとを,ふりかえっていきたいと思います。
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