第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《シンポジウム》脳卒中の最新治療-急性期から維持期まで-―座長/安保 雅博
脳卒中の再発予防―これからの抗凝固療法,抗血小板療法―
長尾 毅彦
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1東京女子医科大学神経内科
pp.372-375
発行日 2012年7月18日
Published Date 2012/7/18
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脳梗塞における血栓止血学的異常
しばしば同一線上で議論される,心筋梗塞と脳梗塞であるが,同じ動脈血栓症であっても,脳梗塞の血栓止血学的異常は心筋梗塞ほど均質ではない1).その多様性が脳梗塞における抗血栓療法の適応を難しくしているのも事実である.
脳梗塞は臨床的に,心原性脳塞栓症,アテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,その他分類不能の4病型に大別される.同じ規模の脳主幹動脈を閉塞する心原性脳塞栓症とアテローム血栓性脳梗塞であるが,血管を閉塞せしめている血栓自体の形成機転は同一ではない.特に心原性の場合には,血栓は遠く心臓内に形成された血栓に由来し,その一部が遊離して脳血管に飛来する.他方,アテローム血栓性の症例では,重度の脳動脈の硬化,狭窄を基盤として,脳血管で直接血栓が形成され,局所の脳動脈を閉塞する.
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