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はじめに
膝関節は身体の中でも最も大きな可動域を持つ関節であり,150度以上の屈曲・伸展運動に加え,大腿骨・脛骨が回旋運動を行う.脛骨は大腿骨の屈曲に伴い約25度内旋することが知られている1).例えば代表的なスポーツ障害である膝前十字靭帯(ACL)損傷では,膝の回旋不安定性が患者の愁訴と最も関連するため,動作中の大腿骨―脛骨の回旋運動を評価することが重要である.現在膝関節の動態解析にはX線透視画像(Fluoroscopy)を用いた研究が盛んに行われているが2),X線被曝の問題に加え,計測できる範囲・動作に制限があり対象となる動作は歩行などの直線的かつゆっくりとした動作に限られる(図1).またデジタルビデオ・カメラを用いた膝運動解析も行われており,簡易・安価であるため大規模サンプルを対象とした研究やスクリーニングが行われているが3),2次元画像を用いるため膝関節の屈曲―伸展および内反―外反の評価にとどまっている.したがって,ACL損傷などで問題となるサイドカット・ジャンプなどの動作における膝関節3次元運動を評価するうえで,表面マーカ式動作解析装置の持つメリットは大きい.
表面マーカ式動作解析装置は,体表に反射マーカを貼ることで計測可能であるため,被験者に対する侵襲は非常に少ない.複数のカメラを使用することでかなり広いWorking Spaceを確保できる.当然,自然な運動を計測可能である.さらに,関節にかかる力学負荷や関節周囲筋の筋活動を同時に評価できるなど拡張性も高い.他方,システムが高価であること,皮膚に添付したマーカによる誤差(Skin motion error,後述)を考慮しなくてはならない.
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