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はじめに
光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)が眼科領域の断層イメージングに用いられるようになり,その技術は眼底3次元画像検査用として導入が開始され,前眼部検査用へ応用されるに至った1)。前眼部の断層像は細隙灯顕微鏡を用いて得ることが可能であり,現在でも眼科医の診察機器としてゴールドスタンダードであることは揺るぎないが,可視光を用いるために混濁組織に弱く,定量的な評価も困難であるといった欠点がある。
長波長光源を使用した前眼部OCTの開発により,細隙灯顕微鏡が苦手とする混濁組織やその奥の構造物を明瞭に描出することが可能となった。当初はタイムドメイン方式でスキャン速度や解像度に問題があり使用する場面が限られていたが,フーリエドメイン方式の1つであるスウェプトソースOCTの登場により3次元的な形態計測や画像化が可能となったため,臨床面・研究面における注目度が一気に高まった。
前眼部に特化した前眼部3次元OCTとしてはCASIA(トーメー社)が汎用されており,角膜形状解析や前房・隅角の定量的な測定,緑内障手術後の濾過胞評価などさまざまな分野に使用され,有用性について多くの報告がなされている2〜4)。さらに2015年12月にはその後継機であるCASIA 2(トーメー社)が発売された。本装置では従来のCASIAよりも前後方向の測定範囲が拡大し,焦点深度が改良されたために,水晶体の画像化や形態計測が可能となったのが特筆すべき点である。また,表1に示した通り,測定点の増加やスキャン速度の向上といった改良点もあり,画像の重ね合わせも可能となったため,より鮮明な前眼部断層像が得られるようになった。
本稿では,前眼部OCT CASIAを用いた前眼部3次元画像解析の使用方法について,その特徴である混濁組織の描出,定量的解析などに焦点を当てながら概説するとともに,最新機種であるCASIA 2についても若干の私見を交えながら紹介したい。
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