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脳性麻痺児のリハビリテーション処方
1.粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System, GMFCS)レベルⅢ,Ⅳのリハビリテーション処方
・8歳頃までに日常でも行えるレベルまで,支持歩行能力を引き上げる
頻度の少ない通院リハビリテーション(以下,リハ)で訓練室内だけの支持歩行訓練をしても支持歩行能力の向上は困難な場合が多く,通院頻度を増やす,あるいは短期入院集中訓練,痙縮治療(ボツリヌス毒素注射,下肢筋解離手術など),生活の場面で歩行機会を作るための環境調整などの処方が必要になる.家庭での支持歩行練習はスペースがない,時間がない,保護者は訓練士の代わりはできないなどの理由からできないことが多いため,学校生活のなかに歩く機会を取り入れていく環境調整が重要となる.歩行パターンの改善は訓練士に任せ,教師に対しては歩行の安全性を確保し,廃用性の筋力低下の防止や動かすことで変形拘縮の増悪を避けることを依頼し,歩かせ方については細かな注文は出さないことが,学校とうまく連携をとるために必要となる.漫然と頻度の少ない通院訓練を繰り返していると,支持歩行能力が向上する時期を逸してしまう.保護者の希望として小学校低学年のうちはできるだけ地元の学校に通学させたいという切実な願いがあるが,この時期は歩行能力が向上する時期でもあり,通常は地元の学校に通学し必要に応じて短期入院集中訓練を行って支持歩行能力を向上させる必要がある1).
また成長とともに機能が低下してきた時は,短期入院集中訓練(リフレッシュ入院)や環境調整などきめ細かな対応が必要となる(図1).10歳代後半になって車いすでの移動が主体となり支持歩行が不能となっても,幼児期から移動手段を車いすにした例と比較して変形拘縮の程度は軽く,支持立位能力の維持はしやすい.日常生活のなかで支持立位の時間を確保することや,床上移動が可能な場合は継続することが必要となる.支持立位が将来にわたりできる例とできない例では介護負担に大きな違いが出る.
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