第46回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/静岡 《教育講演》
脊髄損傷のリハビリテーション―良好な社会的アウトカムを目指して
德弘 昭博
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1独立行政法人労働者健康福祉機構吉備高原医療リハビリテーションセンター
pp.616-621
発行日 2009年10月18日
Published Date 2009/10/18
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なぜ社会的アウトカムか
我々はリハビリテーション(以下,リハ)医療を,障害を負った対象者を急性期から引き継ぎ,その障害にふさわしい形での社会復帰を援助し,またその結果得られた社会生活を維持することと捉えている(図1).
本来リハ医療は障害のレベルでいえば,能力低下・活動の制限に対するアプローチが主流である.しかし機能的アウトカムは得られたが,それに適合した生活の場が得られないのであれば,リハ医療の効率は低下することになる.その意味でリハ医療の帰結として生活の場を確保することは非常に大きな意味を持つ.しかしわが国ではリハ医療で得られた日常生活動作(ADL)にふさわしい生活の場を確保する取り組みをリハ医療終了後に行う施設は少なく,多くの場合は医療施設がこの役目を担わねばならない.この場合,必然的に社会的不利,参加の制約のレベルに関する包括的なアプローチが医療の中で必要になる.
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