医療の質の評価と改善 組織・運営・戦略におけるトータル・クォリティー・7
医療のアウトカムの評価
今中 雄一
1
1九州大学医学系研究科医療システム学教室
pp.636-639
発行日 1997年7月1日
Published Date 1997/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902155
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診療のアウトカム
評価の対象となる医療は,以下の三つの次元に分けることが古くからDonabedianによって提唱され,広く受け入れられている.ちなみに,その三次元とは,・構造(ストラクチャ)・過程(プロセス)・結果(アウトカム)である.ストラクチャは,病院という建造物の構造や機能のみならず,設備・機器,専門家を含めての人員配置,組織の形態・運営などを指す.患者に対する医療の質を支える基本的部分であり,古くから医療に関する評価対象として取り上げられている.これらの構造的因子の評価や審査は,方法論的に確立しやすい反面,医療の根幹部分や直接的な診療・ケア行為を評価することができない.そこで,診療やケアのプロセスやアウトカムの質の評価や保証が重要という気運が高まり,並行してその評価技術が進んできた.
医療のアウトカムは,多次元的なものである.その指標について,五つのDが提唱されている(Lohr, KN,1988).すなわち,death (死亡率,など),disease, disability, dis-comfort (検査結果,術後合併症,身体・心理・社会機能,症状など),dissatisfaction (患者満足度)を指す.広い意味では,医療費あるいは資源消費量なども含まれ,表1のようになる.
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