第46回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/静岡 《教育講演》
足の障害と靴の医学
橋本 健史
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1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター整形外科
pp.622-627
発行日 2009年10月18日
Published Date 2009/10/18
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はじめに
最近,遺伝子研究が急速に進歩して,ヒトとサルの遺伝子はその約99%までは同一であるという報告があった.ヒトとサルを分けるものは何であろうか? それは直立二足歩行を常時,日常的に行うかどうかにあるのではないか.私は足の構造とくにアーチ構造の違いを強調したい.サルの足部は扁平で,足アーチ構造は存在しない.これに対して,約370万年前の猿人の足跡にはすでに土踏まず-足アーチ構造-が存在した1).人類史のかなり初期の段階である猿人の足跡にすでに足アーチ構造が存在した事実は,足アーチ構造が直立二足歩行にとって非常に重要な要素であることをうかがわせる.
本稿では,足アーチ構造についての最近の知見と,最近注目を浴びてきているアーチが消失する新しい病気(後脛骨筋腱機能不全)についての診断,治療について報告する.また,このように重要な足の障害のうち,最も頻度の高い疾患として足関節外側靭帯損傷をとりあげ,その診断,治療法について述べる.さらに,足の障害の予防,治療に欠くことのできないテーマが靴の選択,処方である.靴の構造と機能について,最新の知見をまじえて報告する.
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